堀内大使によるアフリカ情勢報告(第7回:2022年1月29日)

令和4年2月4日
 アフリカ連合(AU)日本政府代表部の大使の堀内俊彦です。アフリカがどこに向かおうとしているのかをお伝えしようと思い、メルマガ(第7号)をお送りします。

 今回は2022年最初のメルマガなので、アフリカとの視点から2022年を見てみます。
 
●TICADイヤー
 今年はTICAD8(第8回アフリカ開発会議)の年です。TICADは日本とアフリカで3年ごとに交互開催で、今回はアフリカ開催の番となりチュニジアで開催です。
 現在、AU(アフリカ連合)は、日本を含むアフリカ域外のパートナーとの関係のあり方を見直そうとしています。その点からも、アフリカに対して、日本が信頼に値するパートナであることを強く印象付ける必要があります。今年のTICAD8はその意味からも重要です。
 なお、今年は、TICAD以外にも、EU、韓国、アラブ連盟等もアフリカとの間で、首脳級または閣僚級の会合を開催予定です。これらの他のパートナーの動向も探っていきたいと思います。(いずれの会合でも、新型コロナ感染症の感染対策をしつつ、対面(物理的な出席)での開催が追求されています。)
 
●2022年のAUのテーマは「栄養と食料安全保障」
 AUは毎年その年のテーマを決めていますが、今年のテーマは「栄養と食料安全保障」です。コートジボワールが中心になって引っ張っています。栄養に関しては、日本も2021年12月に東京栄養サミットを開催しました。その成果ももとに協力できたらと思っています。
 
●2022年のAUの議長国はセネガル
 AUは毎年輪番で議長国を選んでいますが、今年の議長国はセネガルです。2月のAU総会でコンゴ民主共和国から引き継ぐ予定です。今年はAUがその前身となるOAU(アフリカ統一機構)から発展改組して誕生してから20周年となる節目の年での議長国就任です。セネガルの足元の西アフリカでは残念ながらクーデターで政情が安定しない国も出ていて、セネガル自身も今年は議会選挙があり、なかなか落ち着かない状況下ですが、議長国のセネガルとも協力していきたいと思います。
 
●選挙
 今年はアフリカ全体では約20近くの国政選挙が予定されています。イギリスのThe Economist誌では、特に注目すべき選挙として、アンゴラ、ケニアなどの選挙を挙げていました。選挙を通じて包括的・包摂的なガバナンスをいかに作り出すかは引き続きな大きな課題だと思いますが(アフリカに限らず)、そこに、他からのお仕着せでないアフリカ流の知恵が働く余地もあるのではないかという気がしています。
 
●2023年への助走
 今年行われる国連安全保障理事会の非常任理事国選挙で日本が当選すれば、2023年から2年間、日本は安全保障理事会入りします。また、2023年は、日本がG7の議長国です(なお、今年は、AUに対する最大のパートナー国であるドイツがG7の議長国です)。
 安全保障理事会でもG7でも、従来からアフリカが主要なテーマになっています。今から、そのための準備をしたいと思います。
 
 アフリカから学びながら、そして、多くの方の声をお聞きしながら、取り組んで参ります。ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
 
2022年(令和4年)1月29日
アフリカ連合日本政府代表部 大使
堀内俊彦