堀内大使によるアフリカ情勢報告(第12回:2022年9月5日)
令和4年9月5日
アフリカ連合(AU)日本政府代表部の大使の堀内俊彦です。メルマガ(第12号)をお送りします。
TICAD8(第8回アフリカ開発会議)(注)に行ってきました(8月27日・28日、於チュニス(チュニジア))。現場を経験した者として特に印象深い点を3つお伝えします。TICAD8の概要については外務省のホームページにも載っていますのでこちらをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/afr/af2/page24_001517.html
(注:TICADはTokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、1993年以来、日本が中心となって開催するアフリカの直面する課題をテーマとする国際会議で、今回が8回目でした。)
【COVID-19に負けないTICADのプラットフォーム力】
私は、TICADの最大の魅力は、アフリカに興味・関心のある人・組織・団体が、自由に考えやノウハウや製品・商品を交換すること、流通させることができる自由市場であること、セレンディピティーをももたらす開放性の高いプラットフォームであることにあると思っています。今回、COVIDを受けて物理的制約がある中でTICADもどうなることかと心配しましたが、一定の成果はあったと思います。新たにオンラインでできたこともあったので、今後は、オンラインとオフラインのいいとこ取りも良いのではないかと思います。これからも、後から振り返って「きっかけはTICADだった」ということがたくさん生まれればいいなと思います。
【フォローアップが鍵】
日本のブランド力を形作る大きな要素の一つが、言ったことはやる、言いっ放しにしないところだと思います(逆にいうと、本当にできると確信が持てることしか言わないという損なところもありますが)。今年2月のAUーEUサミットでも、アフリカ側からフォローアップについて強い意向が示され、AUとEUとの間でもフォローアップの仕組みを設けることになりました。TICADが本来、一過性のイベントではない継続的なプロセスであることからも、フォローアップ(履行)が大事だと思います。
なお、今回、日本も「支援のパッケージ」を発表しましたが、EUーAUサミットに関して、あるヨーロッパの国の大使が以前私に、「アフリカも「ヨーロッパと対等なパートナーシップを」と言うなら、支援の額にこだわるべきではない」と言っていたことを思い出しました。その一方で、「金の切れ目が縁の切れ目」にも一面の真理はあり、真のパートナーシップとは何かについて改めて考える機会になりました。
【バイもマルチも】
TICAD8期間中、参加したアフリカ各国の首脳・閣僚と、岸田総理または総理特使の林外務大臣との間で多くの首脳会談、外相会談が行われました。アフリカ連合(AU)を相手にしている私が言うのも変なのですが、やはり、マルチラテラル(多国間関係)もバイラテラル(二国間関係)も両方大事だと改めて実感しました(AUも大事ですが、個々の加盟国との関係も大事です)。日本とAUとの関係も、還元すれば個々の加盟国を大切にすることに行き当たります。その一方で、TICADの開会スピーチでファキAU委員会委員長が述べていたように、AUが単なる加盟国の総和以上の存在として創発を生み出すのも事実だと思います。バイとマルチの両にらみのお付き合いをする必要があります。
最後に、ホスト国のチュニジアは憲法改正をめぐる国民投票をはじめアラブの春以来の引き続きの産みの苦しみにあるのかもしれませんが、TICAD8のために示してくれたそのホスピタリティーは特筆に値するものであったことも記したいと思います。
多くの方の様々な声をお聴きしながら、アフリカについて考え、行動していきたいと思います。ご意見頂戴できましたら幸いです。
2022年(令和4年)9月5日
アフリカ連合日本政府代表部 大使
堀内俊彦
TICAD8(第8回アフリカ開発会議)(注)に行ってきました(8月27日・28日、於チュニス(チュニジア))。現場を経験した者として特に印象深い点を3つお伝えします。TICAD8の概要については外務省のホームページにも載っていますのでこちらをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/afr/af2/page24_001517.html
(注:TICADはTokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、1993年以来、日本が中心となって開催するアフリカの直面する課題をテーマとする国際会議で、今回が8回目でした。)
【COVID-19に負けないTICADのプラットフォーム力】
私は、TICADの最大の魅力は、アフリカに興味・関心のある人・組織・団体が、自由に考えやノウハウや製品・商品を交換すること、流通させることができる自由市場であること、セレンディピティーをももたらす開放性の高いプラットフォームであることにあると思っています。今回、COVIDを受けて物理的制約がある中でTICADもどうなることかと心配しましたが、一定の成果はあったと思います。新たにオンラインでできたこともあったので、今後は、オンラインとオフラインのいいとこ取りも良いのではないかと思います。これからも、後から振り返って「きっかけはTICADだった」ということがたくさん生まれればいいなと思います。
【フォローアップが鍵】
日本のブランド力を形作る大きな要素の一つが、言ったことはやる、言いっ放しにしないところだと思います(逆にいうと、本当にできると確信が持てることしか言わないという損なところもありますが)。今年2月のAUーEUサミットでも、アフリカ側からフォローアップについて強い意向が示され、AUとEUとの間でもフォローアップの仕組みを設けることになりました。TICADが本来、一過性のイベントではない継続的なプロセスであることからも、フォローアップ(履行)が大事だと思います。
なお、今回、日本も「支援のパッケージ」を発表しましたが、EUーAUサミットに関して、あるヨーロッパの国の大使が以前私に、「アフリカも「ヨーロッパと対等なパートナーシップを」と言うなら、支援の額にこだわるべきではない」と言っていたことを思い出しました。その一方で、「金の切れ目が縁の切れ目」にも一面の真理はあり、真のパートナーシップとは何かについて改めて考える機会になりました。
【バイもマルチも】
TICAD8期間中、参加したアフリカ各国の首脳・閣僚と、岸田総理または総理特使の林外務大臣との間で多くの首脳会談、外相会談が行われました。アフリカ連合(AU)を相手にしている私が言うのも変なのですが、やはり、マルチラテラル(多国間関係)もバイラテラル(二国間関係)も両方大事だと改めて実感しました(AUも大事ですが、個々の加盟国との関係も大事です)。日本とAUとの関係も、還元すれば個々の加盟国を大切にすることに行き当たります。その一方で、TICADの開会スピーチでファキAU委員会委員長が述べていたように、AUが単なる加盟国の総和以上の存在として創発を生み出すのも事実だと思います。バイとマルチの両にらみのお付き合いをする必要があります。
最後に、ホスト国のチュニジアは憲法改正をめぐる国民投票をはじめアラブの春以来の引き続きの産みの苦しみにあるのかもしれませんが、TICAD8のために示してくれたそのホスピタリティーは特筆に値するものであったことも記したいと思います。
多くの方の様々な声をお聴きしながら、アフリカについて考え、行動していきたいと思います。ご意見頂戴できましたら幸いです。
2022年(令和4年)9月5日
アフリカ連合日本政府代表部 大使
堀内俊彦