堀内大使によるアフリカ情勢報告(第14回:2022年12月17日)
令和4年12月21日
アフリカ連合(AU)日本政府代表部(AU代表部)の大使の堀内俊彦です。メルマガ(第14号)をお送りします。
12月になりましたので、「世界の中のアフリカ、アフリカの中の世界」という視点から2022年を時系列で振り返りたいと思います。
【2月】
●AU総会でセネガルがAUの議長国に就任
毎年輪番のAUの議長国にセネガルが選ばれました。その後、セネガルのサル大統領は、AUの議長として、5月にはロシアを訪問しプーチン大統領にアフリカの窮状を訴えました(ただし、ロシアだけ訪問しウクライナを訪問しないことに対する批判や、「西側」による制裁に対する誤解があるのではないかなどの疑念の声も起こりました)。また、折に触れG20にAUも参加すべきと提起したりイニシアティブを発揮しました。国際社会におけるアフリカの存在感を強化しようとの強い意志を感じました。
【2月】
●ロシアのウクライナ侵攻とアフリカ
アフリカは、主権の侵害や領土の一体性の問題には普段から敏感で、かつ、食料危機、エネルギー危機で最も困るのも元々脆弱なアフリカです。しかしながら、そのアフリカが、この事態を生み出しているロシアを強く非難しないとの「奇妙な」事態に陥りました。アフリカには、そしてアフリカ各国にも、それぞれの事情や利害があるのはわかるにしても、いかに建設的な形でアフリカがグローバルな課題に関与することを確保するかとの課題が突きつけられたと思います。
【5月】
●AU臨時首脳会合で非憲法的政権交代(UCG(unconstitutional change of government))がテーマに
AUはその時々の重要課題について臨時首脳会合を開きます。今年は5月に、クーデターなどの非憲法的政権交代をテーマに臨時首脳会合を開きました。クーデターをいかに防ぐか、軍政などの非立憲的状態からいかに民政に移管するかは引き続き大きな課題ですが、首脳会合の開催自体「包摂的な統治」への大きな一歩だと思います。
(なお、AUは11月にも、産業化をテーマに臨時首脳会合を開いています。)
【8月】
●TICAD8(第8回アフリカ開発会議)
3年に一度の日本の対アフリカ外交の集大成とも言えるTICADは、COVID-19とも共存しつつ何とか開催できました。これからは、TICAD8で表明した約束(コミットメント)の履行と、2025年に日本で開催予定のTICAD9の準備の「2方面作戦」を行うことになります(同じコインの裏表の関係ではありますが)。
【9月】
●9月9日は「アフリカ連合の日」
1999年の9月9日に、AUを創設することを定めたシルテ宣言が署名されたことを受けて、9月9日は「アフリカ連合の日」に制定されています。今年は特に、2002年に前身のOAU(アフリカ統一機構)が発展改組する形でAUが実際に創設されて20周年の節目の年でした。
【11月】
●COP27
アフリカ(エジプト)での開催という地の利もあり、アフリカを含む「南」の声を反映する形で「損失と被害」が中心議題になりました。アフリカはこれまでも歴史上様々な「被害」を被っているので、今回のCOP27の議論の影響、広がりを注視していきたいと思います。
【12月】
●エチオピア「内戦」の和平合意
2年以上にわたるエチオピア「内戦」が、AUの仲介努力も功を奏しようやく和平合意に至りました。AUによる仲介は、アフリカ自身による働きかけということで紛争当事者からも受け入れやすいのだと思います(少なくとも「新植民地主義」とのそしりは受けにくいです)。これはAUの「強み」だと思います。
多くの方の様々な声をお聴きしながら、アフリカについて考え、行動していきたいと思います。ご意見頂戴できましたら幸いです。
良いお年をお迎えください。
2022年(令和4年)12月17日
アフリカ連合日本政府代表部 大使
堀内俊彦
12月になりましたので、「世界の中のアフリカ、アフリカの中の世界」という視点から2022年を時系列で振り返りたいと思います。
【2月】
●AU総会でセネガルがAUの議長国に就任
毎年輪番のAUの議長国にセネガルが選ばれました。その後、セネガルのサル大統領は、AUの議長として、5月にはロシアを訪問しプーチン大統領にアフリカの窮状を訴えました(ただし、ロシアだけ訪問しウクライナを訪問しないことに対する批判や、「西側」による制裁に対する誤解があるのではないかなどの疑念の声も起こりました)。また、折に触れG20にAUも参加すべきと提起したりイニシアティブを発揮しました。国際社会におけるアフリカの存在感を強化しようとの強い意志を感じました。
【2月】
●ロシアのウクライナ侵攻とアフリカ
アフリカは、主権の侵害や領土の一体性の問題には普段から敏感で、かつ、食料危機、エネルギー危機で最も困るのも元々脆弱なアフリカです。しかしながら、そのアフリカが、この事態を生み出しているロシアを強く非難しないとの「奇妙な」事態に陥りました。アフリカには、そしてアフリカ各国にも、それぞれの事情や利害があるのはわかるにしても、いかに建設的な形でアフリカがグローバルな課題に関与することを確保するかとの課題が突きつけられたと思います。
【5月】
●AU臨時首脳会合で非憲法的政権交代(UCG(unconstitutional change of government))がテーマに
AUはその時々の重要課題について臨時首脳会合を開きます。今年は5月に、クーデターなどの非憲法的政権交代をテーマに臨時首脳会合を開きました。クーデターをいかに防ぐか、軍政などの非立憲的状態からいかに民政に移管するかは引き続き大きな課題ですが、首脳会合の開催自体「包摂的な統治」への大きな一歩だと思います。
(なお、AUは11月にも、産業化をテーマに臨時首脳会合を開いています。)
【8月】
●TICAD8(第8回アフリカ開発会議)
3年に一度の日本の対アフリカ外交の集大成とも言えるTICADは、COVID-19とも共存しつつ何とか開催できました。これからは、TICAD8で表明した約束(コミットメント)の履行と、2025年に日本で開催予定のTICAD9の準備の「2方面作戦」を行うことになります(同じコインの裏表の関係ではありますが)。
【9月】
●9月9日は「アフリカ連合の日」
1999年の9月9日に、AUを創設することを定めたシルテ宣言が署名されたことを受けて、9月9日は「アフリカ連合の日」に制定されています。今年は特に、2002年に前身のOAU(アフリカ統一機構)が発展改組する形でAUが実際に創設されて20周年の節目の年でした。
【11月】
●COP27
アフリカ(エジプト)での開催という地の利もあり、アフリカを含む「南」の声を反映する形で「損失と被害」が中心議題になりました。アフリカはこれまでも歴史上様々な「被害」を被っているので、今回のCOP27の議論の影響、広がりを注視していきたいと思います。
【12月】
●エチオピア「内戦」の和平合意
2年以上にわたるエチオピア「内戦」が、AUの仲介努力も功を奏しようやく和平合意に至りました。AUによる仲介は、アフリカ自身による働きかけということで紛争当事者からも受け入れやすいのだと思います(少なくとも「新植民地主義」とのそしりは受けにくいです)。これはAUの「強み」だと思います。
多くの方の様々な声をお聴きしながら、アフリカについて考え、行動していきたいと思います。ご意見頂戴できましたら幸いです。
良いお年をお迎えください。
2022年(令和4年)12月17日
アフリカ連合日本政府代表部 大使
堀内俊彦